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豪華なふりかけ
2012.02.24 Friday | category:エッセー
JUGEMテーマ:ショート・ショート 年末、年始の到来物に、きれいな焼き物に入った降りかけが届けられる。 今年も、旧い知人の何人かか、「みみちゃんの好物だから」と贈ってくださった。 このふりかけは、パパも好きだった。ずいぶん昔の思い出は・・・。 あるとき、二人だけのことがあって、このふりかけにはいっている「マツノミ」だけを 選んで食べてしまった。多いの少ないのと言いながら、鉢の中をあさって、探して・・・。 その夜のこと、ママがおかしいわね、と言い始めた。 不良品かもしれないと。理由は「マツノミ」が一粒もないのは入れ忘れたんだろう。 お店に電話しなくてはという。 とうとうパパが、昼間の次第をママに話してしまった。 あれほど、内緒にとみみに念をおしたパパがみずからバラしてしまうなんて。 ママだって仲間に入りたかったわ、ということでパパもみみもお咎めなしだったけど。 あれから長い月日がたった。 あったかいご飯のうえにひと匙すくって載せてから つい、「マツノミ」の有無を確かめたり、数えたりするみみ。 こども時代以来いまも変わっていない。 | ||
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てぶくろのこと
2011.12.09 Friday | category:掌編
JUGEMテーマ:ショート・ショート 手袋が見えない それも片方が 明日は学校へ行かないことにしよう 「つい、先ごろも失くしたでしょ。残っているのを出しなさい」 言われて残ってたミトンを差し出した 翌朝 枕元に失くした片方ずつのミトンが紐でつながっていた 甲の側に同じ赤い花が刺繍してあった 片方が青で もう片方が茶色だけれど花はお揃いで 「ねっ。ママオリジナル いいでしょ」 むん・・・・・ いやだ 笑われる 「失くしたのはダアレ 笑われたって冷たいよりも」 だけどさ いやいや学校へ向かう途中 「オハヨ」「おはよう」 ああおはよう 「なに これ」 んん 「いいじゃん」 なにか? 「てぶくろ あっと ミトンかな」 ママが残った同士つなげたの そして刺繍したの 「そういえば 落し物のところに青いのがあったよ これに似てたよ」 ママ 青い片方が見つかったけどこのままのミトンがいい 「そうお これならすぐわかるものね 日本で一つだけのママオリジナル」 冬ものを出していたら出てきたミトン 4本の指もきつい小さなもの 甲の部分の赤い花はまだ咲いていた | ||
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甘味族・粟ぜんざい
2011.11.15 Tuesday | category:甘味族
JUGEMテーマ:ショート・ショート 黄金色のもちっとしたのと、やわらかい小豆の漉し餡が 内朱の椀に入っていた。 緑の、山椒の葉がひとひら載っていた。 お箸のさきでちょっとだけさわってみると弾力がある。 新そばの懐石の最後に運ばれてきたのだが。 「まあ、デザートでしょうか。アワゼンザイをご用意しました」と亭主 口に入れるとつぶつぶが舌にあたる。餡を加えると口の中が喜んでいる。 おいしいねと隣の人に言ったのが、聞こえたのか 「珍しいでしょう」と声をかけられた。 「もちあわと言いましてね、蕎麦の畑の周りで育ててみたんです。 ふかしてついてみたんですけど、口にあってよろしかった」。 おなかにたまるほどの量ではなく、 あとのお薄までここちよく胃に収まった。 帰る道で、あわって鳥の餌じゃなかったね。と、連れに言うと 昔はお米の代わりに食べたんだろうよ。今ではありがたく頂くけどね。 でもおいしかったね。 蕎麦の里の光は金色で、秋の終りの幸せに包まれていた。 | ||
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たびの前
2011.08.07 Sunday | category:エッセー
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想い出のいりたまご
2011.06.28 Tuesday | category:掌編
JUGEMテーマ:ショート・ショート ひさしぶりにいりたまごを作った。 菜の花のようなそれではなく、だしが残っているいりたまご これには切ない思いがある。 まず、最初に、これを食べさせてくれたのは母であった。 やわらかく、ほのかに甘く、器の底にだし汁があった。 このようないりたまごは母だけのもので、 レシピなど残さずに亡くなってしまった。 高校生になってキキと友だちになった。 そのキキのお弁当によく似たいりたまごが入っていた。 ひとくち味わってみると、なつかしい想い出がよみがえった。 キキのお母さんが作ったと知り会いたくなった。 キキの家の台所でキキのお母さんからだし汁入りの いりたまごの作り方を教えていただいた。 でも、自分で作れるようになったのはずいぶん後のこととなった。 なんども失敗した。味も、火加減も見事な造反ぶり 5年前高校以来のともだちのキキが亡くなった。 それを知った夜、久々に作ってみた。 少ししょっぱく、涙の味に出来上がった。 キキの分がお皿から減らなくて、冷めてゆくのがかなしかった。 此の頃、思い出したようにこのいりたまごに挑戦してみるけれど、 母の味にも、キキのお母さんの出来栄えにも程遠い。 思い出と一緒に、不出来なだし汁入りのいりたまごを口に運ぶのだ。 | ||
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お盆のつづき
2010.08.04 Wednesday | category:エッセー
JUGEMテーマ:ショート・ショート 思い出すままに 田舎の夏のことで前回かききれなかったことごとがいくつかある。 まず、来客の食事の最後はそうめんや、日本そば。 おそばはお手伝いのオバさんが手打ちでつくる。 そのあいだに、そうめんを茹でる。 どちらもその量は数十人分であったから殺気立っていた。 また、別の人たちは精進揚げにいそがしかった。 大きなざるの平たいのに山盛りになるまで。 めんつゆは2種類。ひとつは冷たいの。もうひとつは 熱くて茄子やみょうがが入っていた。そこへ、 冷たいそうめんを浸けて食べる。 何種類もの漬物も手伝っている人たちがそれぞれ自慢の もので大皿に盛られると見事であった。 8月13日の午後、キュウリやナスに細い木の枝を足に 見立てて牛や馬をつくった。お盆の準備である。 やがて、仏様用の落雁を盛った台が届き、一抱えもある 「みそはぎ」の花などがお盆用の仏壇に供えられた。 迎え火を焚く前に(これは、お墓で焚き、家の前で改めて焚くのだが) 塩鱒の茹でたものを、ひとくち食べるのが決まりであった。 居残っていた人たちもこのころには姿を消し、家族とそれ同然の数人 が、静かになった「お盆さま」の前で、夕食となった。 お灯明が揺れるとナス牛やキュウリ馬が動き出すようで、 少し怖い気持ちになったが・・・。 その後、大人が子供に帰ったような「花火タイム」となった。 | ||
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甘味族・64
2010.07.23 Friday | category:エッセー
JUGEMテーマ:ショート・ショート 田舎のお盆 るる子の祖父母の家、また父の生家でもある田舎の家の夏は子供時代の1番の思い出である。 8月になるとお手伝いの人やその上に立つ料理人さんが集まっておもてなしの準備をはじめた。 こんにゃくのピリ辛煮、あぶらあげのそのまま甘辛、なすの含め煮、缶詰みかんの寒天よせ、等々。 いうなれば精進料理。料理人さんは長ーい蒸し物をつくった。 簾に巻かれたそれを外して輪切りにすると、餡子をお饅頭の皮で巻いたお菓子であった。 切らなければ日持ちしたのか、お盆を送るときの舟にも載せていた記憶がある。 とにかく、お盆の迎え火の少し前まで大勢の人が祖父母の家には出入りしていて、賑やかであった。 まずお坊さん。ご法事をして親しい親類とお坊さんを囲んで夜までお食事会。 次の日からいろいろなご縁の方々。そして、お食事会。 七夕は8月7日。この日は、女,子供がお客さん。 笹の葉にたんざくやら、飾りを下げ、七夕人形に、着物を着せて吊るした。 大盤振る舞いのお饅頭は餡のほか、野沢菜煮やナス味噌, ひき肉シイタケといったものが入っていた。 またお坊さんが来て、お客さんがあって、お食事会がくりかえされて、 12日にはお手伝いをしてくれた人たちと御苦労さまのお食事会。 お盆はすこし静かな家となったが、冷蔵庫には先に並べたお料理が入っていて 楽しくも何ともなくな っていた。 思い出すままに、書いてみたけれど、懐かしい人たちの顔がうかんできた。 | ||
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